EU加盟国2016とイギリスEU離脱の背景

イギリス国民選挙でのEU離脱の過半数の結果は予想だにしなかった結果に世界中が困惑・動揺しています。

勝ち負けを勝負するブックメーカーでさえ、EU離脱に5倍以上のオッズをかけるほど、離脱はありえないという予想でした。

リーマンショック以来の経済危機と言われていますが、私たちの生活にどのように影響してくるのでしょうか?

今日はイギリスEU離脱の真相と2016年現在のEU加盟国について見識を深めていきたいと思います。
EU

イギリスEU離脱・存続の国民投票結果

ご存知のとおり、国民投票により結果は、離脱52%、残留48%とEU離脱が過半数を超え勝利しました。

世代的に見てみるとEU離脱を支持したのは年配層に多く、若い人たちはむしろEUに慣れ親しんでいて、生活の一部のような存在だったのではないでしょうか。

年配層にとってはEU自体が長い大英帝国からすると変革の発端であり、経済や社会福祉が一向に良くならない状況に反発して離脱への道を選んだのではないでしょうか?

社会の反感を訴えるために、EU離脱でアピール、お灸を据えるつもりだったのに、まさかの過半数を超えてしまい、EU離脱に投票した市民も驚きを隠せない状況だといいます。

軽いEUへのバッシングが大きくヨーロッパ各国からの孤立してしまう結果となったことに後悔している市民も多いとか。

国民投票結果は正解だったのか?

民主主義の象徴である国民投票ですが、時には意図せぬ方向に向かうこともありえる例となってしまいました。

存続派が優勢であったスコットランドなどから国民投票のやり直しために390万人に及ぶ署名がもち上がっているということです。

では、なぜイギリスはEU離脱の道に進んでいったのでしょうか?それを理解するためにはEUの前身であるECのあたりから整理しておく必要があると思います。

EUの加盟国2016

2016現在のEU加盟国は次のとおりです。

EUには、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニ ア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロヴェニア、スロヴァキア、フィンランド、スウェーデン、イギリスの28カ国が加盟しています。

先日の国民投票でEU離脱が勝利したイギリスですが、現在はまだ交渉中にあり、離脱はしていません。

EUの成り立ち

そもそもEUの始まりは何だったのでしょうか?EUの成り立ちを遡ってみましょう。

  1. 第一次大戦後、「平和と経済安定のため」にヨーロッパ統一を呼びかけ「欧州統合」の考え方が登場しました。
       
  2. その後の第二次大戦による国土の荒廃により、更に欧州統合の熱が上がり、鉄鋼の共同体「ECSC」、経済の共同体「EEC」
    原子力の共同体「EURATOM」がそれぞれ創設されます。この三共同体が後に統一され、学校でも習った欧州共同体=「EC」が誕生しました。

       

  3. 「EC」の当初の加盟国はベルギー、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、オランダの6ヶ国でしたが、その後新たに、デンマーク、アイルランド、イギリス、ギリシア、スペイン、ポルトガルが加盟し、1986年までに12ヶ国に拡大しました。   

ECからEUへ

  1. 1970年代の経済危機によるECの停滞がありましたが、1990年にフランスとドイツが、経済通貨の統合を図る「EMU」を形成を始めた。
       
  2. 通貨統合だけでは収まらずに、1993年11月1日 更に「外交と安全保障政策の司法・経済・安保」まで踏み込んだ 『政府間協力体=EU』 が創設されました。
       
  3. 95年1月にオーストリア、フィンランド、スウェーデンの新規加盟で15ヶ国となりました。2016年現在の加盟国は28カ国にふくらんでいます。  

EUの目的とは

EUとはECで始まった経済統合に加え、「司法・安保などの政治統合の推進を目指す機構」であると言えます。

 マーストリヒト条約はB条でEUの目的について次のように規定しています。  
(a)域内国境のない地域の創設、及び経済通貨統合の設立を通じて経済的・社会的発展を促進すること
(b)共通外交・安全保障政策の実施を通じて国際舞台での主体性を確保すること
(c)欧州市民権の導入を通じ、加盟国国民の権利・利益を守ること
(d)司法・内務協力を発展させること
(e)共同体の蓄積された成果の維持と、これに基づく政策や協力形態を見直すこと

 

何故EU離脱派が勝利したのか?

1、最大の理由は移民問題

英国は新EU加盟国から制限なしで移民を認めていたせいもあり、結果教育・医療など公的サービスの予算が大幅削減され、雇用も打撃を受けイギリス国民に重くのしかかってしまいました。
特に都市部においてEU離脱派が多いようでした。逆にスコットランドではEU残留が圧倒的に優勢でした。

EU離脱を支持・先導していたボリス・ジョンソン前ロンドン市長は「EUにとどまる限り移民は減らせない」と主張。同じ与党のキャメロン首相とは朋友だったとか。

2、キャメロン首相への反発

高学歴、エリートで庶民に受け入れられなかったキャメロン首相へのバッシングもあったのではないか。
離脱反対派のキャメロン首相は5年間で1万人の移民を受け入れる計画を発表していたことにも反発が広がっていた。イギリスはEUから離脱しても存続していけるが、経済成長は低下するだろうと発言。
国民投票を真摯に受け止め、2度目の国民投票はありえないと断言。首相続投の意欲もなく、諦めムードが漂っている。

3、EUの発言・決定力が強大すぎ

EUは、加盟国の政治的・経済的統合を進めていくことを目標としているので、EU首脳会議、閣僚理事会、欧州議会、欧州裁判所など、大国イギリスよりも発言・決定力が強くなりすぎている。

4、単純に元に戻りたかった

特にEU離脱派の過半数は年配層に多く、古き良き大英王国時代の自由な国に戻りたかったのではないかと思われます。

EU離脱してこれからどうなるの?

国民投票再投票か?

離脱を投票した市民からも後悔の声も多く再投票の署名も集まりはじめました。
スコットランド再び独立?
EU継続が一番多かったのがスコットランド地方。2年前にイギリスからの独立・残留の国民投票で辛くも残留派が勝利したスコットランド、

キャメロン首相は辞意を表明しており、2回目の国民投票はないと言い切っておりますが、
イギリス連合王国を構成するスコットランドの「ニコラ・スタージョン首相」は、スコットランドの2回目の住民投票を目指しているらしい。独立も視野に入れた
今回のEU離脱により、また独立の火種が再燃するかもしれませんね。

EU離脱が日本に及ぼす影響とは?

EU離脱の一報により日経平均株価は下げ幅が一時1374円に達するなど、世界的に株式、通貨が大きく下落しました。
このイギリスショックにより、急激な円高による輸出採算の悪化や株安が長引くとも懸念されます。
また、「リーマンショック時同様の就職氷河期が再来するのでは?」との専門家の意見も見られ、我が家も就職前の子供がいる身として心配しております。
今後の離脱の動向が気になるところです。

おわりに

移民政策の是非とEU存続・離脱が複雑に絡み合い混迷するイギリスが国民投票に至った理由がなんとなく理解できたような気がしますが、
わずかの差で国が割れ、世界経済をも揺るがす事態となったことへの影響力の大きさに改めて気づかされました。
願わくばEU離脱の火種が広がらなければいいのですが、私たちにはただ見守るしかありません。