絵を描く仕事をしていく上で絵筆は大切な道具の一つ。
特に穂先が命、揃っていないとどんなに器用でも繊細な線を引くことはできません。
どんなに高価な絵筆でも使用後のお手入れを怠ってしまえば、元に戻ることなく、使い勝手が悪くなってしまいます。
逆に安くてもお手入れをきちんとしていれば、思い通りの筆さばきができますし、長持ちもします。
今日は水彩筆をはじめ、油彩筆、書道筆、メイク筆、ペンキ用筆(刷毛)など様々な種類ごとの洗い方・お手入れの仕方をまとめてみました。
水彩筆のお手入れの仕方
上から大きい面積を塗る大筆(20SERIES 700F BLACK RESABLE ホルベイン Holbein)、中筆(10SERIES 700F BLACK RESABLE ホルベイン Holbein)、デザイン用平筆、彩色筆、面相筆です。
水彩画・アクリル絵の具は水性なので、水で洗います。間違っても水入れにつけっぱなしにしないように。
特に筆先が肝心な彩色筆、面相筆は要注意です。筆先が曲がり、繊細な線が引けなくなくなります。
ポイントは筆洗い器の底に筆を押し当てないこと。
水洗いした後に固形石鹸に付けて爪で絞るように洗うと、筆の根本から色が出てきます。
一見水だけでも絵の具が落ちたような気がするのですが、筆の根本にまだ絵具が残っているのですね。
このよにもうひと手間かけて小まめに石鹸で洗っておけば長持ち&使い勝手を保つことができます。
柄まで丁寧に手で洗いましょう。
専用の筆用布(普通の布か雑巾、ティシュでもOK)で水分を拭き取り、筆たてに立てて自然乾燥させます。カビがつかないようにしてください。
ここで筆先をきちんとそろえておくと、そのままの形で乾燥し固まります。
筆先がばらつくようでしたら、少し水分を含ませて爪で絞り出すように筆先をまとめてください。
滅多にありませんが、アクリル絵の具などの頑固な絵の具(乾いたら耐水性になる)が取れない場合は固形石鹸を含ませ、爪先で削ぐように洗います。色が出てくればしめたものです。
寝かして乾かすと筆先に癖がつくので、必ず布で水分を取ったあと、筆先を指で整えて揃えます。
やってはいけないこと
- 筆洗い器に筆を突っ込んでそのままにしておくこと
- 絵の具がついたままししておくこと
- 濡れたまま、横に倒しておくこと
- 無理やりシンナー等で洗うこと
- キャップをつける
キャップは毛が逆だったり、カビの原因となります。
筆の穂先がそろわない時は?
面相筆など細かい線を引きたいのに、どうしても筆の穂先がそろわない時は描く直前に中性洗剤を僅かに筆に含ませ、指で穂先を整えます。
これは私の師匠の裏技になります。
限界があるでしょうが、パサパサしていた毛がまとまるはずです。使い終わったらよくすすぎ洗いをしてください。
油彩筆 お手入れの仕方
筆についた油絵具をボロ切れでよく拭き取った後に、油絵用の専用クリーナー(クサカベ ブラシクリーナーなど)で丁寧に洗います。
クリーナーがない場合は灯油でも洗えますが、筆を傷める可能性があります。
最後に石鹸をつけて毛の中に残っている油分を絞り出します。水洗いをして、乾いた布で水分を拭き取り、毛先を整えて終了です。
※クサカベ ブラシソフターなど、筆洗後に柔軟性を持たせるトリートメントもあります。筆洗液で洗浄後、石鹸水洗いをせず液に1分ほど浸して軽くふき取ってください。
書道筆 お手入れの仕方
筆おろし:購入したばかりの筆はフノリで固められています。水に浸して、徐々にほぐしていきます。
水彩筆と同じく、筆を底に押し当ててはいけません。数回水を取り替えて丁寧に洗います。水道の流水で直接洗うと筆を傷める原因となります。
十分にすすぎ、フノリを取り除き、水分を取ってから、墨を含ませます。使用後はそのままにしておくと墨に含まれている「にかわ」で固まって筆が傷んでしまいますので、必ず水洗いをしましょう。
洗剤・石鹸はつけないほうがいいでしょう。特に穂の根元に墨が残らないようにやさしく洗います。
洗い終えた筆は逆さまに吊るして、風通しのよいところで乾かしてください。キャップなどをしないように。
筆のお手入れ方法★
ペンキ用筆 お手入れの仕方
水性ペンキの場合は水で洗います。根元に塗料が残っていると筆が固まってしまうので、手で揉み洗ってください。油性ペンキはペイントうすめ液で洗います。
更に石鹸で根元部分に残った塗料を丁寧に絞りだすようにして取ると長持ちします。
ラッカーやウレタン塗料はシンナーうすめ液で洗います。
筆以外のスプレーガンなども分解してシンナーで落とします。漬け置き洗いが効率的です。
刷毛は漬けおきはNGです。できるだけ短い時間で塗料を落としてください。
メイク筆 お手入れの仕方
穂先を守るために空き缶やマグカップなどに毛先を上にして立てておくのがいいでしょう。
毛に付着した化粧品の残りを時々クシでブラッシングします。
頑固な汚れは絵筆と同じく石鹸で丁寧にもみ洗いをすれば、長持ちします。
100均のメイクブラシクリーナーとパフ・スポンジ専用洗剤もあるみたいです。
よくすすいだ後、布で水分を取り、毛先を整えて風乾します。
【100均】メイクブラシ&パフ・スポンジ専用洗剤がおすすめ!
筆の手入れの仕方のまとめ
水彩筆、書道用筆、油絵筆、ペンキの刷毛、メイク筆とメンテナンスの方法をお伝えしましたが、いずれも道具に感謝して、大事にいたわる気持ちが大切でしょう。
職人が心を込めて作った道具を大切にお手入れをすることで、長持ちし、自分の使い勝手が良い道具になっていきます。
怠れば一瞬のうちに傷んでしまいます。
現代は物があり余り、使い捨ての時代と言われますが、上手い作品を作ろうと思ったら、まずは道具から。
道具に感謝して、大事にメンテナンスを行い日々修練を重ねていきましょう。
子供たちにも道具を大切に使うことを教えていきたいですね。