忙しい朝、気持ちよく便が出ない時は、不安とその後の緊張とが重なり、腹痛を伴った下痢になることが多々あります。
便が出たからと言って安心はできません、その日の状況により不意に便意が襲ってくることもあります。
ちょっとしたことで起こりやすい下痢は、我慢したりコントロールしたりするのが難しいため、実に厄介な症状です。
肝心な時に起こる下痢・腹痛はどんなに意気込んでも、その日のモチベーションが下がり、精神的にも肉体的にもつらいものです。
腹痛の有無に関わらず、下痢は日常生活にも支障が出やすい上に体力を消耗してしまいますので、なるべく早く治したいものです。
また、何日も下痢が続くと、大きな病気なのではないかと不安になってしまう方もおられるかもしれません。
そこで今回は、下痢が長く続く原因と危険性について、また、何科を受診すればよいのかについて調べてみました。
下痢でお悩みの方の参考になり、少しでも改善のお役に立てれば幸いです。
下痢が長く続く場合は?
下痢には「急性下痢」と「慢性下痢」の2種類があり、一般的に3週間以上続く下痢は「慢性下痢」と呼ばれており、原因によって感染の有無が異なります。
原因となるものがはっきりしている場合は状況を改善できる可能性がありますので、まずは心当たりがないか考えてみましょう。
下痢が3日以上続く場合
感染が考えられる下痢の場合、原因として考えられるのは、「ウイルスや細菌による胃腸炎」「赤痢」などです。
これらが原因である場合、症状は下痢だけではなく、発熱や吐き気などを伴うことが多く、便には血液や未消化の食べ物が混じり、普段とは異なる強い匂いが感じられることがあります。
「ウイルスや細菌による胃腸炎」として代表的なものは、小児の場合ロタウイルス、成人の場合ノロウイルスやカンピロバクターなどです。
感染して12時間から72時間で症状が現れはじめ、下痢だけではなく嘔吐や頭痛、発熱などを伴います。腸の中にウイルスが残ったままになってしまうのを防ぐために、下痢止めの使用は避けましょう。
「赤痢」とは下痢・発熱・血便・腹痛をともなう感染症で、日本では減少傾向にありますが、海外旅行の際に感染するケースも見られることから、注意が必要とされています。
配偶者や子供など身近な人が感染性のある下痢になった場合は、うがいや手洗いをしっかり行い、除菌スプレーなどを活用するなどして、家庭内での感染を防ぐようにしましょう。
感染することのない下痢の場合、原因となるのは、「食べ過ぎ・飲みすぎ」「冷え」「アレルギー」「ストレス」「乳糖不耐症」などが考えられます。
これらの場合は、腹痛を伴うことはありますが、発熱や吐き気などを伴わないケースも多く見られます。
乳糖不耐症
「乳糖不耐症」とは、乳糖(ラクトース)を多く含む乳製品である牛乳やヨーグルトなどを摂取するとお腹が痛くなり、酸っぱいにおいの水下痢をするというものです。
「牛乳を飲むと下痢をする」という方は、この「乳糖不耐症」の可能性があるため、乳製品の摂取を避けることで下痢の症状は和らぐとされています。
過敏性腸症候群
そして「ストレス」による下痢の症状があるものとして有名なのは「過敏性腸症候群」です。
下痢のほかに、「便秘」「ガスの増加」「腹痛」など幾つかの症状があり、日本人では約1~2割が現在過敏性腸症候群であるともいわれていて、私もその中の一人です。
症状は人により異なりますが、私の場合は、数日下痢が続いたかと思うと便秘になり、ころころした硬い便が少しずつしか出なくなり、やがて再び下痢が始まり…という状態を繰り返し、頻繁に腹痛が起こります。
このとき感じる腹痛は、細いもので腹部を引っ掻き回されているような強烈な痛みで、息苦しくなるほどなのですが、人によっては腹痛がないケースもあるそうです。
私は腸の検査もしてもらいましたが、結果には異常はなく、「過敏性腸症候群」と診断され、整腸剤と安定剤が処方されました。
過敏性腸症候群の場合は、「下痢が続く」「便秘が続く」「下痢と便秘を繰り返す」など、人によって症状のタイプが異なります。
誰にでも当てはまることかと思いますがストレスの原因を取り除くのは簡単ではないことから、なかなか治りづらく、何か月も辛い思いをする羽目になってしまいました。
私が最初に過敏性腸症候群と診断されたのは、転職の直後でした。
職場が変わったことにより朝が早くなった上に残業が増えて生活のリズムは乱れていましたし、新しい仕事を覚えることにもストレスを感じていました。
医師から処方された薬を飲み、そのうえでアルコールや冷たい飲み物を控え、食事では野菜の量を増やし、なるべくストレスをためないように心掛けました。
すぐには症状が改善しなかったのですが、仕事に慣れたころ、ふと気が付いたら症状が落ち着いていました。ストレスの怖さを改めて思い知ったものです。
これまでに二度ほど再発していることから、今後もストレスが多いと感じる時や、環境が変わった時などは注意していかなくてはなりません。
下痢が一週間以上続く場合
食生活、ストレス、食中毒、アレルギーなどでも、原因を解消しない限りは下痢が続く場合があります。
そして、上記のような原因がないのに長期の下痢が続く場合、胃や腸などに病気が潜んでいる可能性も考えられますので、「症状は下痢だけだから」と放置するのはおすすめできません。
「長引く下痢に危険性があるかどうか」は、その症状や観察によりいつもと違う微妙な変化・状態に気づくことがあります。
特に注意したいのが、便に血や膿などが混じっていたり、普通の便とは異なる「白、赤、黒」などの色がついていたり、腐ったような匂いがしたりする場合です。
また腹痛と下痢以外に、嘔吐や発熱などがある場合も、何らかの病気や感染などが疑われます。
通常とは様子の異なる下痢、海外旅行に行ったあと、生ものを食べた後の下痢などは、なるべく早く病院を受診し、適切な処置を受けることをおすすめします。
下痢の時の対処法
下痢のときは、運動は控えてなるべく安静にし、しっかりと水分をとることが大切です。いったん症状が落ち着いても、再び下痢が始まる場合もありますので、無理は禁物です。
無理に食事をしなくても水分がきちんと補給できていれば問題ないといわれていますが、症状がひどくて水も飲めない場合などは、脱水症状を防ぐためにも早急に受診した方が安心です。
突然の腹痛・下痢の対処法
仕事の真っ最中やイベント開催中での突然の腹痛、特に下痢の場合は、退席するのが難しいですよね。
医師の処方による薬が一番間違いないと思いますが、突発的な下痢や腹痛の場合の対応策として、市販薬の「赤玉」や「スパット下痢止め」あたりを常備しています。
胸のポケットに入れておくだけで、不安がある程度治まります。お腹が痛くなり出したら、あるいは痛くなる前に水なしで飲むのこができます。
下痢が続く時は何科に行けばいい?
なかなか下痢が治まらない場合、まずは消化器内科や胃腸科がある病院を受診してみましょう。
この際に、
・下痢が続いている期間
・下痢以外の症状(発熱、嘔吐など)の有無
・下痢の状態(色、においなどの特徴)
・食べ物が原因と考えられる場合、何をいつ食べたか
について詳しく説明できると診察がスムーズになります。
私が最初に「過敏性腸症候群」という診断を受けたのは、子供のころから通っているかかりつけの内科でしたが、そこでもきちんと対応してもらうことができました。
大きな病気が疑われる場合は、ほかの病院を紹介されることもありますが、たいていの下痢は消化器内科で対応してもらえるようですので、相談してみましょう。
おわりに
下痢が長く続く場合、原因を知るためのヒントは日常生活にあるといっても過言ではありません。
最近食べたものや行った場所、ストレスの有無などを思い返すことによって、長引く下痢を改善できる可能性があります。
そして、ウイルスや細菌などへの感染による下痢を防ぐためには、うがいや手洗いなどをしっかり習慣化しておくことも重要です。
食べすぎや飲みすぎを控え、冷えやストレスを防ぐなどして腸内環境を整えておくことにより、下痢だけではなく大腸がんなどの病気も予防することができる、と言われています。
下痢・腹痛は「これ以上、この食生活を続けていたら大病になりますよ!」という私たちの体が教えてくれる何らかの危険信号だと思います。
頻繁に下痢を起こす方は特に、今一度食事を含めた生活習慣を見直し、ストレスをため込まない健康的な生活を目指していきましょう。
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