介護ロボット

介護ロボットというものをご存知でしょうか?

最近いろんなメディアで紹介する機会が増えているので、「実物を見たことはないけれど、テレビ番組で取り上げられているのを見かけた」「介護施設などでのうわさは聞いている」という人は多いかもしれません。

介護ロボット

介護ロボットと一言で言ってもその役割は様々になりますが大きく3つに分けられます。

  • 介護支援型のロボット(入浴など「介護する人」の仕事を支援するロボット)   
  • 自立支援型のロボット(歩行や食事の際に「介護される人」を助けるロボット)   
  • コミュニケーション・セキュリティ型のロボット(介護される人との対話や、見守りなどを行うロボット)   

2015年からは、介護ロボットの利用料の9割を介護保険で補助することが決定され、導入に関して補助金も支給され始めるなど、政府でも普及に向けて動いています。

今回は、そんな介護ロボットの種類やその役割と大体の価格、補助金などの詳細について調べてみました。

介護ロボットに種類はある?

役割に応じて大きく3つに分けることが出来る介護ロボットですが、用途ごとに様々なものが開発されています。
まず、その介護ロボットの中から、一部を紹介します。

介護支援型のロボット

『移乗介助(装着型)』

・腰部負荷軽減用HAL(移乗介助支援用ロボットスーツ)
重いものを持ったときに腰椎や椎間板にかかる負荷を低減します。
入浴や移動などの際に、介護する人を支援します。

・介護用マッスルスーツ
軽量で高出力。
人工筋肉により、訪問入浴介助のような、介護する人の腰に負担がかかる作業を支援します。
介助者は両手を自由に使って作業することが可能になります。
スイッチは装着者の呼吸に合わせて反応してくれます。

『移乗介助(非装着型)』

・離床アシストロボット「リショーネ」など
電動ケアベッドと、電動フルリクライニング車椅子の融合。
介護する人1人だけで、持ち上げることなく車椅子からベッドに移動が可能となります。

・ROBOHELPER SASUKE
介護する人の腕をアシストし、シートごと介護される人を乗せて抱きかかえるように移乗が可能に。
ベッドや車椅子などの間を楽に行き来することができます。

自立支援型のロボット

『屋外移動』

・歩行アシストカート
60歳以上の高齢者が使用することを想定した歩行アシスト用ロボット。
特別な操作は不要。

・歩行アシストロボット
高齢者が買い物などで「歩いて外出」する場面をサポートします。
坂ではモーターによるアシストや抑速が可能となっています。

『排泄支援』

・真空排水式排泄アシスト水洗ポータブルトイレ
ベッドとの移乗がしやすい上に、排泄物を外に流せるポータブルトイレ。
設置に給排水の工事は不要。

セキュリティ型のロボット

『介護施設見守り』

・3次元電子マット式見守りシステム
介護施設入居者などを対象に、ベッドからの転落や、ベッド周囲での転倒などについて見守りをします。

・シルエット見守りセンサー
ベッドからの起き上がりや、はみ出しを検知して、Wi-Fi環境を使用しPCなどに知らせてくれます。
タブレット端末から利用者の様子をシルエットで確認することが可能となります。

・非接触無拘束ベッド見守りシステム
ベッドを見守り、危険な姿勢を検知すると30秒以内に通報が可能となります。

・マルチ離床センサー対応型介護施設向け見守りシステム
対象者を24時間見守り、離床状態を検知して複数のスタッフに即時で知らせることが可能となります。

ロボットというと、つい人型のものをイメージしてしまうかもしれません。

しかし、上記に挙げたものは、いずれも人型ではなく、体に装着したり、部屋に設置したりして使うものとなっています。

体に装着する介護ロボットの場合は、特に介護する人の「腰への負担」を軽減することに特化しています。

介護関係の仕事によって腰を痛めている、という人は少なくありません。

それを考えると、介護ロボットを使用することで介護する側の腰への負担を軽減することが出来たら、素晴らしいですね。

また、「見守り」についてもロボットを使用することが出来れば、介護従事者の負担は大きく軽減できそうです。

コミュニケーション型のロボット

例えばコミュニケーション型のロボットで最も有名な「PALROパルロ」は人口知能を搭載しており、ダンス・ゲーム・体操やクイズなどのレクレーションはもとより、高度なコミュニケーション能力を持ち合わせています。

介護ロボット

人との接触でもなかなか反応が期待できなかった方にでも積極的に対応し心を和ませ、癒してくれます。

更に施設スタッフや介護者の精神面でのリスクにも対応しているのでスタッフのメンタル面での負担を軽減してくれます。

  • 厚労省の次のような介護予防項目に適用しています。   
  • おしゃべりを促す口腔機能向上、認知機能低下予防・支援 
  • ダンスや歌などのレクリエーションを一緒にしたくなり運動機能向上に役立つ   
  • ダンスの感想をきくなど会うたびに新鮮な受け答えができるので、うつ予防と支援   
  • 閉じこもり予防と支援   
  • 栄養改善の提案   

レンタル3万円/月、購入は67万円(税抜) 法人への販売が基本ですが、個人への販売も今後検討中らしい。

介護ロボット、気になる販売価格

種類を見る限り、とても便利そうな介護ロボット。
実際の販売価格はどの程度になるのか、一部機種について調べてみました。

例1)腰部負荷軽減用HAL(移乗介助支援用ロボットスーツ)の場合、
契約形態:法人向けの3年レンタル(個人への販売は不可)
価格:初期導入費用10万円+レンタル料7.8万円/月×3年=290.8万円(税抜)

例2)離床アシストロボット リショーネ
離床アシストロボットのリショーネの場合、
価格:約100万円

いずれも普通のご家庭ですぐに導入できる価格ではないようです。

今のところ多くの介護用ロボットは、介護施設などでの利用を前提に考えられているようですね。

そのため、介護ロボットに関しては、
・インターネット上には販売価格が明記されていない
・個人への販売を行っていない
という介護ロボットが多くなっているようです。

なお、一般家庭に取り入れやすい支援ロボットとしては、「服薬支援ロボ」というものがあります。

これは、薬の飲み忘れや飲み間違い、飲みすぎを防ぐロボットとなっており、楽天やAmazonなどの大手ショッピングサイトで個人が購入することも可能です。

販売価格は、約13万円。
本体には、1週間分(最大1日4回)の薬をセットすることが出来ます。
あらかじめ設定した時間以外は薬の取出しは不可となっており、決められた時間になると、「お薬の時間です。ケースをお取り下さい」という音声と共に、薬を取り出せるようになる、というものです。

病気によっては薬の飲み忘れが重篤な状態を引き起こす可能性もあります。
そういう病気を抱えている人にとっては、とても便利な介護ロボットとなっています。

介護ロボット導入支援事業と補助金

高齢化が著しく進み介護従事者への負担が大きくなり続けていることから、その活躍が期待される介護ロボットですが、現実には安全化や実用化などの問題から、介護機器の分野は開発がなかなか進んでいないようです。

そのため政府では、
・介護ロボットにおける重点分野の特定
・使いやすさとコスト削減
・現場に導入するための公的支援
などを目的として「介護ロボット導入支援事業」を行っています。
この支援を行うことで、介護を受ける人の自立を促し、介護する側の負担を減らすだけでなく、「ロボット介護市場」の創出を目指しています。

また現在、各自治体では、「介護ロボット導入支援事業補助金事業」が実施されています。
対象は、各自治体に申請をした介護施設となっており、現在のところ一般家庭は対象ではありません。

おわりに

一般家庭に導入するには少し高額な介護ロボット、ようやく最近テレビ番組などでも取り上げられるようになりましたが、「介護は人の手で」という考え方も根強く、介護ロボットの社会的認知度は未だ高くないようです。

しかし介護ロボットの更なる開発や普及が進んでいけば、将来的には自宅での介護などでの利用が一般的になる日も来るかもしれません。

高齢化が現在よりも更に進む2035年には、4000億円規模に達するであろうと言われる介護ロボット市場。

まずは介護施設で浸透し、価格が下がれば、その可能性は十分にあると言えそうです。

介護する人、介護される人どちらにもメリットのある介護ロボット、一般に普及する日が待ち遠しいですね。

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