
脳の細胞が壊れることなどが原因で日常生活に支障が出てしまう認知症。
認知症は種類によって様々な症状がありますが、「記憶障害」を中心とした症状が生じます。これは、加齢による「物忘れ」とは大きな違いがあります。
加齢によって起こる「物忘れ」の場合は進行性や日常生活への支障もなく、何かの手がかりがあれば忘れたものを思い出すことが可能です。
しかし、認知症による「記憶障害」の場合は、脳の神経細胞が破壊されていることから、手がかりがあっても思い出せず、徐々に進行していきます。
実際に認知症の方と接すると、その記憶の抜け落ち具合が、単なる「物忘れ」とは大きく違うことが分かります。
認知症の場合、「名前を聞かれて答えても、数分後には忘れてしまい、それを何度も繰り返す」というような状態になったりします。
古い記憶はしっかりしているのに、新しい記憶はない、というケースも少なくありません。
高齢化に伴い、認知症を発症している高齢者の数は増加の傾向にあります。
それだけではなく、「グレーゾーン」にいる、認知症予備軍も多いと言われています。
今回は、認知症の予防に効果が期待されるコグニサイズ体操や、藤井4段で一躍ブームがまき起こっています将棋のゲームアプリをご紹介いたします。
【認知症は予防できる?】
認知症は、現在のところ完璧な予防方法はないと言われています。
しかし脳の状態を良好に保つことによって、認知症にかかりにくくすることはできると言われています。
予防対策を取っておくことで、近い将来認知症になった場合でも、早期に発見し進行を遅らせることも可能になるでしょう。
「完璧な予防」は難しくても、少しでも「認知症になりづらい」状態にすることによって、健康に長く人生を楽しみたいものです。
【認知症と運動】
脳機能の低下を防ぐためには、「有酸素運動」が有効であると言われています。
有酸素運動とは、
- ウォーキング
- ジョギング
- 水泳
- ヨガ
など、酸素を取り入れた持続的な運動のことを言います。
有酸素運動は、血流を促進させ、脳機能の低下を防ぐという効果が期待できます。
また、それ以外にも、体脂肪の燃焼や、うつ病の予防効果もあるとして注目されています。
認知症予防を目的として有酸素運動を行う場合は、もっとも手軽に始められる「ウォーキング」がおすすめです。
可能であれば、家族や友人との会話を楽しみながら歩くと良い、と言われています。
1回あたり30分程度のウォーキングを週に数回行うだけでも、効果が期待できるようです。
高齢者が愛好する「グランドゴルフ」も数時間歩き回りますので、とても良い「有酸素運動」になると思います。
水分の補給を忘れずに快適に汗をかきましょう。
【認知症予防体操コグニサイズ】
「コグニサイズ」という言葉をご存知でしょうか。
これは、国立長寿医療センターが開発した、認知症予防を目的とした取り組みの総称となっています。
コグニサイズとは、運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた造語です。
英語のcognition (認知) とexercise (運動) を組み合わせてcognicise(コグニサイズ)と言います。
Cognitionは脳に認知的な負荷がかかるような各種の認知課題が該当し、Exerciseは各種の運動課題が該当します。
「コグニサイズ」には、「脳に認知的な負荷がかかるような課題」と「全身を使った運動の課題」を組み合わせた、「コグニステップ」「コグニウォーキング」などの、様々な運動があります。
コグニサイズ関連ページ:国立長寿医療研究センター http://www.ncgg.go.jp/cgss/department/cre/cognicise.html
コグニサイズは「1から数を数えて、3の倍数で手を叩く」というような軽度の運動に、ステップを組み合わせたものなど、種類は豊富で、誰でも手軽に始められます。
YouTubeなどの動画サイトでは、「コグニサイズ」と検索をすると、さまざまな動画を見ることが可能です。
それらの動画を参考にしながら、実際に「コグニサイズ」を行ってみることをおすすめします。
コグニサイズ(1) 「マーチでポン」 読売新聞社
動画は体操を開発した国立長寿医療研究センターの島田裕之先生が考案・監修し、読売新聞社が制作。
このとき重要なのは、「簡単すぎないこと」です。
「コグニサイズ」の目的は、決して「上手に行う」ということではありません。
失敗して笑う、というような動作も、認知症の予防にとっては重要となっているからです。
「コグニサイズ」では、脳と体を、適度な負担によって活発化させることによって、認知症になりづらくするのが目的です。
そのため簡単な「コグニサイズ」に慣れてきたら、少しずつ難易度を高くしていくのが良い、とされています。
さらに、どんな「コグニサイズ」を行うか、ということを考えるのも、「コグニサイズ」にとっては重要なポイントです。
また、ウォーキングと同様に、1人で行うより複数人で行ったほうが効果に期待できるようです。
【コグニサイズ体操をする場合の注意点】
高齢者が、有酸素運動や「コグニサイズ」を行う場合には、以下のような点に注意しましょう。
・しっかりとストレッチなどの準備運動を行う
・体調が悪い場合には無理をして運動をしない
・時間を決め、体に負担をかけすぎない
・きちんと水分補給をする
・転倒に注意する
「このくらいなら大丈夫」という油断は絶対に禁物です。
怪我をしたり、体調を崩したりすると、治るまで運動をすることも出来なくなってしまいます。
そうならないよう気を付けて、少しずつ、継続して行いたいものです。
【認知症予防:手軽な指体操】
さらに、認知症には「指体操」も効果的であるとされており、インターネット上では、様々な種類の指体操が紹介されています。
例えば、
1.両手の指を開く
2.片方の親指を外、反対の親指を中にして、両手を握る
3.一度開いて、今度は逆の動作をする
というようなものがあります。
文字で見ると簡単ですが、実際に繰り返してみると、意外に難しいものです。
この指体操は、動作が難しくなればなるほど、脳の活性化が期待できる、とのことです。
体力のない人でも座ったまま行うことが出来るため、手軽な認知症予防として最適です。
指体操は、毎日少しずつ継続して行うのが良いそうです。
レクリエーション介護(14)「指体操レクレーション」 【1分介護技術動画】
【認知症予防に効果が期待できるゲームアプリ】
認知症予防をしたくても、怪我などによって思うように体を動かせない、という場合もあるかと思います。
そんなときは、ゲームアプリを使用してみてはいかがでしょうか。
一般的に、「認知症予防」として推奨されているゲームは、
- 将棋・チェス・囲碁
- クロスワードなどのパズルゲーム
- 計算問題
- 脳トレ
- 推理ゲーム
- 迷路
- クイズ
などとなります。
認知症 脳トレよりチェスや将棋など対人ゲームが予防効果大
NEWSポストセブンより
パソコン、タブレット、スマートフォンなどを使えば、手軽に「認知症予防」を目的としたゲームをすることが可能です。
将棋アプリ 将皇 https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.ken1shogi&hl=ja
【日本将棋連盟後援】に認定されている将棋アプリです
「電王」の称号を獲得した最強の将棋ソフトponanza(ポナンザ)を始め、Aprey(エイプリー)、elmo(エルモ)などのソフトがあります。
なお、スマートフォンやタブレットの場合は、「認知症」と検索すると、
・認知症テスト
・認知症予防アプリ
などが表示になり、様々なアプリを見ることが出来ます。
いずれのゲームも、記憶力や集中力の向上につながり、右脳左脳を活性化させてくれる効果が期待出来ます。
このときも、「コグニサイズ」と同様に、「簡単すぎないこと」は重要なポイントとなります。
脳に適度な負荷をかけられる程度の難易度を選んでプレイしましょう。
ゲームの場合は、楽しく認知症予防ができるのが大きな魅力です。
「ゲームをしている人」と「ゲームをしていない人」では、認知症の発症率に違いがあるとも言われています。
パソコンやスマートフォンなどの操作が分からない場合は家族や友人に聞いて、会話をしながらの操作する、というのも楽しみにつながることでしょう。
「コグニサイズ」やウォーキングと併用するのも良さそうです。
おわりに
認知症は、進行すると日常生活に支障をきたすことから、家族にかかる負担も大きくなってしまいます。
そのため、発症する前に無理のない範囲で予防をしてみてはいかがでしょうか。
「有酸素運動」「コグニサイズ」「指体操」「ゲームアプリ」など、予防方法は様々ですが、いずれも継続することが大切です。
最近ブームの将棋ですが、藤井4段も活用しているAI人工知能を対戦相手としたソフトを利用すると、楽しみながら脳を活性化できるのではないかと思います。
どんな予防方法が自分にあっているかを模索することも、脳を活性化することにつながります。
脳に適度な刺激を与え続けて認知症を予防し、家族に大きな負担をかけることなく、健康に長生きしていきましょう!
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