梅干し

骨粗鬆症と梅干しの関連について、メディアで注目されているのをご存知でしょうか。

「骨粗鬆症に梅干し?」と意外な組み合わせを疑問に思う方が多いかもしれませんが、身近な梅干しが骨粗鬆症の予防になるとすれば女性の皆さんは嬉しいですね。

ここでは、骨粗鬆症の概要と梅干しの効果骨粗鬆症に梅干しが良い理由梅干しを使ったメニューや話題の梅肉エキスの効能についてご紹介します。

「骨粗鬆症」が女性に多いのは何故?

「骨粗鬆症」とは、日本整形外科学会では下記のように説明しています。

骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。

引用:日本整形外科学会 骨粗鬆症

骨粗鬆症は特に閉経後の女性に多く、女性ホルモンの1つである「エストロゲン」の減少が影響すると考えられています。

学会では、骨粗鬆症の女性は全国でおよそ1000万人を超え、高齢化に伴い今後はさらに増加するとしています。

原因や治療、予防についてはページ下の雑学でご紹介していますので最後にご覧下さい。

梅干しの驚くべき効果と効能

梅干し 骨粗鬆症

古来より梅干しは保存食として重宝され、生活の中で様々な効果や効能を発揮して来ました。
最近では、梅干しに含まれるクエン酸が注目され健康に良いと話題になっています。

ここでは、梅干しの効果と骨粗鬆症の関係についてご説明します。

梅干しの栄養価と塩分

文部科学省の食品成分データベース(※1)によると、「梅干し」にはナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンEなどが多く含まれています。

また、この資料による梅干しの塩分は、種を抜いた可食部100gあたり22.1gと記載されています。

標準的な中くらいの梅干しの可食部は10gほど、大きいもので20gほどなので、1粒あたりの塩分はおよそ2~4gと見れば良いでしょう。

なお、クエン酸は文部科学省のデータに記載がなく、他の資料(※2)を調べたところ1粒(可食部10~20g)あたり664±43mgという数値が出ていました。

ただし、梅の産地や品種によってクエン酸の含有率は異なり、100gあたり3,000~5,000mgの範囲が多いようです。

購入する際には、クエン酸のデータが公開されている梅干しを選ぶとより具体的になります。

梅干しの効果/病気予防やアンチエイジングにも

梅干しの殺菌・抗菌効果は昔から知られており、クエン酸は疲労回復にも役立つ成分としても有名です。

また、アルカリ性の梅干しは、酸性になりがちな体内を1粒で中和する効果もあります。

最近では、「梅リグナン」によるインフルエンザ予防、胃がんや糖尿病などの予防効果もわかってきました。

その他、梅干しはポリフェノールによる免疫強化アンチエイジングも期待できます。

さらに、最近では梅干しを食べた時に出る唾液内の「アミラーゼ」「カタラーゼ」も注目されています。

アミラーゼは消化を助け、カタラーゼは活性酸素の過剰な働きを抑える酵素です。

骨粗鬆症に梅干しが良い理由!

骨粗鬆症と梅干しの関係は、梅の研究者として知られる和歌山県立医科大学の宇都宮洋才助教授によって紹介されました。

骨粗鬆症と梅干しには、どのような関係があるのでしょうか。

カルシウムとクエン酸の関係

宇都宮氏の研究では梅を食べる習慣と骨密度の関係を調べたところ、梅干しを週に1~2個食べる人の骨密度は食べない人の1.2倍高いという結果を得ました。

宇都宮氏は、梅干しに含まれるクエン酸の「キレート作用」により、カルシウムなどの栄養素がクエン酸に吸着して体内に吸収しやすくなるためと説明しています。

また、宇都宮氏は培養細胞に梅の抽出物を加えた実験を行ない、新しい骨を形成する「骨芽細胞」が活性化する効果があることも発見しました。

この結果はさらに骨粗鬆症の予防に繋がるとして、成分の研究を重ねています。

食べるタイミングはいつがいい?

骨粗鬆症予防が期待できる「梅干しは夜に食べる」のを推奨する先生もいます。

カルシウムの吸収には、マグネシウムの働きが関連することが多くの研究からわかっています。

お茶の水健康長寿クリニックの白澤卓二院長によると、カルシウムは午後8時を過ぎた頃から吸収が良くなるため、夕食にマグネシウムを含む梅干しを食べれば吸収の効率アップに繋がるとしています。

梅干しは塩分に注意しながら

骨粗鬆症だけでなく様々な効果がある梅干しですが、偏った食品の食べ過ぎは体に良くありません。

先述したように、梅干しは塩分が1粒あたりおよそ2~4gなので塩分の過剰摂取には注意が必要です。

厚生労働省の基準(※3)では、1日あたりの食塩摂取量は成人男性で8.0g未満、成人女性は7.0g未満で、特に高血圧の人は6g未満に抑えるよう推奨しています。

普段の食事にも塩分が含まれるので、1日に食べる梅干しは1個で充分と考えられます。

梅干しを普段の食事に!おすすめメニュー

それでは、骨粗鬆症におすすめの「梅干しを使用した簡単メニュー」をご紹介しましょう。

高齢者の方には梅干しと魚の組み合わせ

古くからある「イワシの梅煮」はご存知の方も多いことでしょう。

梅干しに含まれるクエン酸が魚の煮崩れを防ぎ、骨を柔らかくする効果があるので大変食べやすくなります。

また、クエン酸の効果で魚の骨からカルシウムが溶け出すため、手軽にカルシウムも摂取できるというメリットもあります。

イワシだけでなく、カレイやサンマなどでもぜひお試し下さいね。

男性には梅干しと豚肉でボリュームアップ

お肉が大好きな男性には、梅干しとビタミンBが豊富な豚肉の組み合わせが喜ばれます。

梅干しから種を取った梅肉は万能なので、様々なメニューに応用してみましょう。

豚肉で梅肉と大葉を巻いて焼く定番おかずは、食欲をそそりご飯に合いますね。

梅肉にみりんとしょう油を合わせておき、炒めた豚肉に加えてすりゴマで仕上げるメニューもおすすめです。

餃子の皮で豚と梅肉、大葉を巻き、カリッと焼いておつまみ風にもできますよ。

ダイエットしたい女性は焼き梅干しや梅ソース

梅干しには脂肪燃焼効果のある「バニリン」が含まれており、加熱すると成分が増加することがわかっています。

梅干しをアルミホイルで包み、焼き網の上でバーベキューのように焼くユニークな「焼き梅干し」はいかがでしょう。

炊飯器でご飯を炊く際に梅干しを1粒入れると、さっぱり美味しい炊き上がりになります。

また、梅干しを湯で塩抜きし、加熱して砂糖、みりんで味付けした梅ソースも万能です。

育ち盛りのお子様には梅干しとヨーグルト

梅干しのクエン酸とヨーグルトのカルシウムの組み合わせなら食べやすく、成長期のお子様のカルシウム補給にもぴったりのデザートです。

ヨーグルトはカルシウムや乳酸菌の多いタイプを使用しても良いですし、プレーンヨーグルトにハチミツ(1歳以下のお子様は不可)を加える方法もおすすめです。

また、クエン酸は悪玉菌の増殖を抑え、ヨーグルトは善玉菌を増やして腸に働きかけるので、ママも一緒に食べれば免疫力アップや便秘解消も期待できますよ。

骨粗鬆症には梅肉エキスもおすすめ!

ここまで梅干しと骨粗鬆症についてお伝えしましたが、近年では平行して「梅肉(ばいにく)エキス」も注目されています。

ダイエットも期待できる梅肉エキスの効能

梅肉エキスは完熟する前の青梅の絞り汁を煮詰めて作ったもので、その歴史は江戸時代まで遡ると伝えられています。

クエン酸による疲労回復やカルシウム吸収、殺菌などの効果に加え、梅肉エキスに含まれる「ムメフラール」「ベンジルβ‐D‐グルコピラノシド」といった成分が様々な病気予防や抗酸化作用に役立つとして話題になっています。

さらに梅肉エキスは血流の改善も注目されているので、代謝が良くなりダイエットに繋がる効果も期待できます。

梅肉エキスをメニューに取り入れよう

梅肉エキスの多くは柔らかいペースト状になっており、簡単に飲み物や料理に加えることができます。

そのまま舐めても良いですが、暑い日には氷を入れて冷たい梅ドリンクに、ホッと一息つきたい時にはお湯割りや焼酎と合わせた梅酒にするのもおすすめです。

サラダのドレッシング、キュウリなどの浅漬け風、マリネの調味液として使うなど、ネットで検索すると色々なレシピが出てきますよ。

梅肉エキスは粒状や飴、ドリンクなどでも販売されているので、自分に合ったタイプをお選びいただけます。

おわりに

今回は、骨粗鬆症の概要と梅干しの効果、骨粗鬆症に梅干しが良い理由、梅干しを使ったメニューや話題の梅肉エキスなど耳寄りな情報をご紹介しました。

近年では骨粗鬆症の認知度が非常に高く、医薬品会社の調査(※4)によると「女性の閉経後に発症しやすい病気」の質問に全体の7割以上の女性が骨粗鬆症と回答しています。

テレビやインターネット、雑誌などで骨粗鬆症を取り上げる機会が多いため、多くの女性が注意したい病気として意識していることがわかります。

私たち日本人には馴染みの深い梅干しですが、驚きの効果があるなんて調べるまで分かりませんでした。梅干しにまつわる研究も様々に行なわれているので、今後の展開が楽しみですね。

身近な梅干しを美味しく取り入れ、今日から骨粗鬆症予防を始めませんか?

【雑学:骨粗鬆症の原因と治療、予防について】

1、骨粗鬆症の原因は?

私たちの骨は、新たに作られる「骨形成」溶けて壊れる「骨吸収」の状態を常に繰り返しており、このバランスが崩れると骨粗鬆症になることがわかっています。

女性ホルモンのエストロゲン骨吸収を抑制する役割があるため、閉経後に分泌が減少すると骨の成分が溶けて壊れやすくなり、骨密度が減ってしまいます。
また、運動の習慣がない人は骨の細胞が活発に働かないので、骨粗鬆症になりやすい傾向があります。

さらに、若い頃に過度のダイエットをした人も骨に充分な栄養が行き渡らないことから、年齢を重ねた後に骨粗鬆症になりやすくなります。
まれに、持病や服用している薬が原因で骨粗鬆症になるケースもあります。

2、骨粗鬆症の検査や治療・薬

骨粗鬆症は、骨の成分や量である「骨密度」を調べる検査を行ないます。
X線を使わない超音波法、弱いX線を使うDXA(デキサ)法、X線を使用しますが簡単にできるMD(エムディ)法X線撮影があります。
また、身長測定や血液検査で骨密度を調べる方法もあります。

骨粗鬆症と診断された時には、薬物療法と平行して運動療法や食事療法を行います。
治療薬は骨の破壊を防ぐ「骨吸収抑制剤」や骨を作る「骨形成促進剤」を使うことが多く、近年では「カルシトニン製剤」を注射する治療法も導入されています。
骨粗鬆症の予防に繋がる運動療法や食事療法は、次の項目でご説明します。

3、骨粗鬆症を予防するには

骨粗鬆症の予防に繋がる運動療法は、骨に負荷をかけて細胞を活性化させる目的があり、片足立ちなどのバランス運動、ストレッチなどが効果的です。
無理のない範囲で、毎日安全に続けられる運動を専門家に相談してみましょう。

食事療法では、骨を形成するカルシウムを摂取する指導が行なわれます。
先にご紹介した厚生労働省の資料(※3)では、カルシウムの1日の摂取量は下記を目安としています。

成人男性・・・650~800mg/1日
成人女性・・・550~650mg/1日
成長期はプラス200mgほど

カルシウムの吸収を良くする栄養素は、ビタミンDやマグネシウムがあります。
ビタミンDは適度な日光浴で生成されるので、散歩をすれば運動も同時に行えますね。

マグネシウムは、今回ご紹介した梅干しにも多く含まれています。
その他、良質なたんぱく質やビタミン、炭水化物なども偏りのないよう摂取しましょう。

お忙しい中最後までお読みいただきありがとうございます。尚、他の記事も是非ご覧いただけるとありがたいです!

参考資料

※1 文部科学省 食品成分データベース 梅干し

※2 (公財)わかやま産業振興財団 果樹・野菜等の機能性成分データベース

※3 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要」

※4 ファイザー株式会社「閉経前後の女性の骨粗鬆症に対する意識・実態調査」

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